DL♥︎マスクの奥の。

ジッと見つめる視線に耐えかね、キョロキョロとしてしまう私。

気づけば、私以外の患者さんは既にいなくて、奥の部屋であれこれと作業するスタッフの足音や、洗い物をする音が聞こえる。

その場の雰囲気が、もうすぐ土曜日である今日の診療終了時刻が訪れる事を私に知らせた。



か、帰らなきゃ迷惑かけちゃう!



「あ、あの、、」


イスから立ち上がろうと、足に力を込める。

けれど、、





「…そっかぁ。。」






…え?



ため息交じりにそう呟いた、目の前の先生。

その瞬間、ドクンと今までとは違った強い鼓動が私の胸を不安にし始め、入るはずの足の力が逆に抜けてしまった。

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