ライギョ
「あのさ、早速本題に入るけど………山中くんの事、どう思う?」


「えっ?や、山中?」


突然の問い掛けにどう答えれば良いのか全く頭が回らない。


「うん、だから久し振りに対面してどう思った?」


「どうって……」


正直、山中とはリラで偶然に会ってその後、少しメールでやり取りしたけど、ちゃんと会うのは今日で二回目だ。


「無理もないか……。ちょっと会ったくらいでは分からんよね。」


「どういう事?確かに向こうで偶然に再会した時は随分と昔の印象とは変わった気がしたけど……でも今日は地元だし小夜子もいるからか、昔に近い気がしたけど。」


「フフッ、今、小夜子って普通に呼んだ。」


「あっ、ごめん……平沢さん…。」


「いいって、いいって。全然、小夜子って呼ばれる方がいいよ。ただ、ちょっと懐かしいなって。」


「うん……。」


何とも気苦しい空気を断ち切る様に続けて言った。


「山中と上手くいってないの?」


「ううん。そんな事はーーーない、と思う。うん、普通に上手くいってると思うよ。」


「じゃぁ、どういう事?俺、鈍いからちゃんと言ってもらわないとよく分かんなくて…。」


どうも小夜子の考える事が掴めず、性急に話を詰める。


「そうやね、あんたは確かに昔から鈍かった。」


「お、俺?」


「うん、そうよ。昔っから鈍かったよ。だって私があんたの事好きやったん気づいてなかったやろ?」












はっ?
小夜子が俺を?





頭痛くなってきた……。





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