ライギョ
「僕…、」


長い沈黙を破ったのは中学生の原 妃咲だった。


「僕、正直言うと兄の体が見つかってない事とかどうでもいいんです。当時の僕はそんなん全く知らない話ですし。」


ぽつりぽつりと言葉を続ける。


「最初、僕、何も知りたいと思いませんって言いましよね。」


「ああ…、さっき?」


ここに来て直ぐ、原 妃咲は言った。


ーーー今更、知りたいとも思わない


って。


「僕…、本当はーーー」


急に言葉に詰まる原 妃咲の両脇に小夜子と千晶さんがさり気なく寄り添うように座り、その華奢な背中をゆっくり撫でてやる。


俺は目の前のその光景をただ、ぼんやり見入る。


すると原 妃咲はゆっくり顔を上げ俺の目を見て言った。








「僕…、僕が…、生きる意味ってなんですか。」









高台に抜ける風の音でかき消されそうな程、弱々しい声で原 妃咲が言った。


彼女の膝に乗せられた手は固くぎゅっと結ばれていて、スッとまるでスローモーションの様にその手の甲に一粒の涙が落ちた。


身を縮め静かに泣く姿は安田なんかじゃない。


どこから見ても、一人の女の子だった。


ちゃんと女の子だったんだ。
































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