ライギョ
「少しは落ち着いた?何か飲み物新しいの買ってこようか?またお茶が良いかな?」


「お腹も空いてへん?あっ、私、サンドイッチ持ってるわ、食べる?」


少しだけ泣いた原 妃咲(はら きさき)は漸く落ち着いて来たのか顔を上げると両隣から甲斐甲斐しく世話を焼く千晶さんと小夜子に答えた。


「ありがとう。大丈夫です。」


10代だろうが、20代だろうが…


女は女同士ってやつか。


なんとなく俺達男の入る隙がない。


余計な事を言わないよう黙って様子を伺っていると


「僕、ーーー母親に捨てられたんです。」


と、原 妃咲は何かを吹っ切ったように話し出した。


「捨てられたですって?どういう事?あっ、ごめんなさい。私、突っ込み過ぎよね?」


肩を竦め申し訳なさそうに話す千晶さん。


「いえ、いいんです。ほんまの事やから。」


そう言った原 妃咲の顔は元のポーカーフェイスにすっかり戻っていた。


「僕…、小学生の頃、自分は男なんやってずっと信じてました。なんの疑問も持たずに。」


原 妃咲はぽつりぽつりと話し出した。



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