さよならのはなびら
一歳差の壁

好きだな、と自覚したのは、その日のうちだった。
昔から深入りしやすかった私は、いろいろなところから先輩のことを知っていった。
部活は入ってないけど、地元の剣道場に通っているとか、誕生日とか、いろいろ。
もちろんあまり聞きたくないこともあって、彼女がいるとか、好きな子がいるとか、そういうの。
先輩とはあまり関わることはなかった。集会や行事で、遠くからみてるだけ。
それでも、素敵な人だということがわかるくらい、目立って人気のある人だった。
見るたびに、鼓動が早くなっていくのがわかる。
だからこそ、学年の差は大きく感じる。
例えば、文化祭で一緒に出し物が出来ない。(私が出来たのは、先輩のクラスに行くことだけ)
あと、修学旅行。
一番の大きな行事なのに、もちろん一緒には行けない。(私が出来たのは、この時ばかりはなにもない)
受験の時期だって、祈るだけ。声をかけられる立場なんかない。
そんな壁を感じながら、想い続けて、やがて2年がたった。
今日は先輩たちが、卒業していく。
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