桃の花を溺れるほどに愛してる
「友達としてお付き合いしていくのも……無理です」

「……それは、どうして?」

「……榊先輩が、つらいと思ったからです。だから、今日、交流を断ち切ろうと思って……」

「……そう」


 榊先輩の顔……俯いていて、よく分からない。でも、分からなくてよかったのかもしれない。

 今、榊先輩の顔を見てしまったら、交流を断ち切るという気持ちが……決心が、揺らいでしまうから。


「……」


 お互い、沈黙が続く。それはとても、長く感じた。


「……あの」

「……分かった」


 私が声をかけると、榊先輩はそう言って顔をあげた。……よく見る、笑顔だった。


「桃花ちゃんには迷惑をかけちゃったね。ごめんね」

「え。あっ、いえ……」

「じゃあ、俺はもう行くから」


 榊先輩は私に背を向け、足早に屋上から姿を消してしまった。

 ……私のせい、だよね。でも、どうしたらよかったのか、私には分からないよ……。

 もともとは一緒に昼ご飯を食べようっていう話だったのに、こんなことになってしまったらそれどころじゃないよね……。

 教室には戻りづらいし、昼ご飯は1人で食べようかな……。

 弁当箱を取り出し、蓋を取った瞬間、上から声が聴こえた。

 ……えっ?上?
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