桃の花を溺れるほどに愛してる
「聖くん、まさか……みんなに言わない、よね……?」


 刹那、聖くんはニヤリと口を歪めた。


「えー?どうしよっかなー?」

「お願い、言わないで!」


 聖くんの目を見つめて必死に言うと、聖くんは私の目を見て……。


「言わねぇよ」


 真顔でそう言った。


「他の奴らに言ったところで、俺にはなんのメリットもねぇし、何より、俺みたいな問題児の言葉なんて信じちゃくれねぇだろうし」

「……それは、」

「何も言うな。……とにかく、ちょっとセンパイをからかってみただけ★」


 ……聖くんは、おそらく、自分で今の自分の状況がよくないこと、分かっているんだろうな。

 でも、どうしようもないから、ズルズルと今の状況を引きずっている……みたいな。

 私には……ちょっとでも聖くんの力には、なれないのかな……?


「っていうかさ、あの榊センパイとの交流を断ち切るって、あんた、おもしろいヤツだな、本当に」

「え……?」

「だってあの容姿だぜ?女の子みーんな、キャーキャー騒いでいるっていうのに……あんたはそうでもないんだなって思って。そんなヤツ、初めて見た」


 昔は、好きだったんだけどね、榊先輩のこと。


「いや、まぁ……私、一応、恋人……いる、し……」


 そう言いながら、春人とは恋人なんだって思い返したら、照れてきちゃって……声量がだんだんと小さくなっていく。
< 227 / 347 >

この作品をシェア

pagetop