桃の花を溺れるほどに愛してる
「つまり、あなたは桃花さんを守ってくださったわけですね!」

「……まぁ、そうっすね」

「へっ?!」


 ……そっ、そういうことになるのかな?私、よく分からないんだけど。

 私、聖くんに守られていたの……か?でも、そう考えてみたら、今朝の忠告が偶然だとしても、昼休みの出会いは聖くん本人の故意だったような気もする。

 昼休みの件に関しては、別に話し掛ける必要のない私の前にわざわざ現れたのは……そういうことなの?


「これはこれは。大変失礼致しました。僕は天霧春人と申します」


 先程とは違い、ふんわりと優しい笑顔を浮かべながら自己紹介した春人。

 聖くんは、春人の“何か”に驚いたらしく、両目をカッと見開いた。


「天霧……って、病院の?」


 あっ、ああ……“何か”って“病院”のことか。

 でも、そうだよね。すごい人を目の前にしたら、誰でも驚くよね。


「はい。……父に比べたら、まだまだ未熟者ですけどね」


 はは……と苦笑いを浮かべる春人だったが、それでもやっぱりすごいことだと感心しているのか、しばらく聖くんは驚いたままだった。

 そして同時に、春人に対して憧れや尊敬の眼差しを向けているようにも見えた。
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