桃の花を溺れるほどに愛してる
 聖くんに道案内されるがまま、しばらく春人が車を走らせていると、そこが見覚えのある道だということに気が付く。

 あれ?この道って……。

 まさか……。


「――で、この道の右側にその店があります。……あっ、アレっす!あの店がそうっす!」


 聖くんが指を差すので、私は慌ててその方向に目をやる。

 ――私の思った通り、聖くんが私に教えたいと言っていたオススメの店は、以前に春人と来たことのある喫茶の“碧の森”だった。


「聖くんのオススメの店って、“碧の森”だったんだ……!」

「あはは。これはすごい偶然ですね」


 笑い合う私と春人に、聖くんはポカン……。


「えっ、2人とも知っているんっすか?喫茶·“碧の森”……」

「まぁね。以前、春人に連れられて来たことがあるの。でも、その時に食べたのはケーキじゃないから、今回はケーキを食べるのが楽しみっ」

「そっすか。なんか、安心した」

「え?」

「『ここの店のケーキなら昔に食べたわよ!クソまずかったわ!』って言われたらどうしようかと……」

「ちょっと!さすがの私でも、そんなことは言わないわよっ!」

「どうかなぁ~?だって神代センパイだし」

「それ、どういう意味?!」


 聖くんの頭の中の私は、どれだけ最低な女なんだよっ?!
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