桃の花を溺れるほどに愛してる
「……プッ。冗談だよ、じょーだん」

「なにそれ。冗談でも酷い……!」

「悪かったって。センパイが可愛いから、つい」


 「は?」と私が言うより先に、ただならぬ視線を感じたので見てみると……ひぃーっ!春人が鏡越しに私達をガン見してるっ!

 軽くホラーなんですけど?!


「コホン……。2人はずいぶんと仲がよろしいんですね?しかも、僕が思っていた以上に……」

「わぁー!違うから!変な誤解をしないで!ね?春人っ!私と聖くんは、本当にただの友達なんだから……っ!」


 ドロドロとしたオーラを身に纏う春人に、必死に弁解をするけど……。


「“ただの友達”……って、なーんか俺としては傷付くんですけど?」


 聖くんは空気を読んでか読まずか、横から私の身体に抱き着いた。

 そして、そのままの格好で、まるで私達の仲の良さを春人に見せ付けるようにして、ニヤリッと笑う。

 春人はそれを、無言で、無表情で、光を宿していない真っ黒な目で、鏡越しに見ていた……。

 ちょっと……なにこの雰囲気?

 2人とも仲良くしようよ!

 聖くんはオイタが過ぎているし、春人も黙ってないで何か言ってよ……!

 それとも……これって、2人を引き合わせた私が悪いの……か?これ、私のせい?私はただ、2人に仲良くしてほしいだけなのに……。
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