桃の花を溺れるほどに愛してる
「もう……2人ともちゃんとしてよっ!」


 とりあえず聖くんを身体から引きはがした私は、車内の空気の悪さから逃げるように窓の外に目をやる。

 2人とも……相性が悪いのかなぁ?仲良くとまではいかなくても、喧嘩だけはやめてほしい。

 せっかく聖くんのオススメだっていうケーキが食べられるのに、こんな空気じゃ美味しく感じられないよ……。

 はぁ……と溜め息を吐いていると、喫茶·“碧の森”に到着したらしく、私達は車をおりた。

 2人はまるで、距離を置くように、私の右隣に春人、私の左隣に聖くんが並ぶようにして、店内へと入った。

 すると……。


「いらっしゃいませ~♪」


 前に来た時にもいた司さんが出迎えてくれた。店の奥には、桐生さんが店員として働いているのが見える。

 にこやかと満面の笑顔を浮かべている司さんだったのだが……。


「……げっ」


 ……「げっ」?

 何故か、ふとあからさまに嫌そうな表情を浮かべた。

 私達、どこかヘン?前に来た時は至ってフツーだったのに、どうしていきなりそんな嫌そうな表情を……?

 不思議そうにしていると、左隣にいた聖くんが私の前を横切った。


「客、3人ね。席はここでいいから」


 聖くん、やっぱりここの常連なのかな?慣れているように思う。
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