桃の花を溺れるほどに愛してる
 聖くんは苦虫を噛み締めた表情を浮かべたまま、それ以上は話そうとはしなかった。

 聖くん自身、あまり言いたくないのかもしれない。だったら、無理に聞くのはよくないよね……。


「他にもオススメの店とかあるの?」

「他?うーん、そうだなー……。俺の家の近くに新しいケーキ屋が出来たんだけど、なかなか美味しいかも」

「へぇ!そこもいつか行ってみたい!」


 私と聖くんはケーキの話で盛り上がっていたけど、春人は無言のまま。

 やっぱり、怒っている?

 でも、話し掛けたら春人は笑顔で話を聞いてくれているようだった。

 ……うーん、なんだろう?さっきの聖くんとの険悪なムードが原因じゃなくて、何か悩み事とかあるのかな?

 2人っきりになって、ゆっくりと落ち着いた頃、春人の話を聞いてあげよう!私でその悩み事が解決するかは分からないけど……。


「お待たせ致しました、ご注文の品になります」


 あっ、司さんじゃなくて、桐生さんが品を持って来てくれた。

 片手で持っているおぼんの上には、聖くんが注文したケーキがずらりと乗っている。


「いつもいつも、あざーっす」


 聖くんは注文したケーキを、目の前に並べるようにして置いた。
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