桃の花を溺れるほどに愛してる
「天霧さん。大丈夫っすか?ケンカしたことない人が、無茶をしちゃダメっすよ?」

「それは……だって、聖くんが……!」

「え?俺?」

「あなたは……榊くん側の人間じゃあないのですか?」

「あー……」


 刹那、聖くんはバツの悪そうな表情を浮かべた。


「榊センパイ側の人間っていうか……榊センパイ側の人間を演じている、的な?」

「えっ……?」

「神代センパイを助け出すために、榊センパイたちに連れ去られるギリギリのところで、力になりますって言って手伝わさせてもらっているんっすよ」


 ……ということは、つまり、聖くんは桃花さんを助け出すために、榊くん側の人間になっているのだろうか。

 最初から桃花さんや僕を騙すために近付いてきたわけでもなく、僕と同じで、桃花さんを守るために……。


「聖くん……ありがとうございます」

「礼を言われるようなことはしてないっすよ、当然のことをしたまでっす。だって、どう考えたって榊センパイの思考はおかしい。あの榊センパイ、神代センパイを自分のモノにするためなら、この廃病院で暮らしてもいいって言っていましたもん」

「なっ?!」


 それって、誘拐したあげくに監禁までもを犯すつもりなのだろうか……?

 そんなこと、僕や聖くんはもちろん、家族の皆さんや、世間的にも黙ってはいないことでしょう。

 一刻もはやく桃花さんを助けに行かなくては……っ!!!
< 299 / 347 >

この作品をシェア

pagetop