カリス姫の夏
「だよね。
あたしはさ、まっ、言えって言われれば言うけど、わざわざ言いに行きはしないね。
面倒な事になるのいやだし。
ほら、あのOLだっておもしろくはないだろうけど、駅着くまでの辛抱だって思ってるよ、きっと。
でもね、もし……もしだよ。
あのOLが、怒ったおじいさんに驚いて泣きだしたらどうする?
うーん、それでもあたしは知らんぷりするけどね。それくらいで泣く方もどうかなって思うし。
だけどさ、ほら、通路挟んで隣に座るサラリーマンが、変な正義感出しちゃって、か弱い女を……ん?か弱いのかな?
まっ、とにかく、助けたいなんて思っちゃって。
ちょっと古いけど、電車男きどってさ。
おじいさんを殴って……いや、殴ったらだめだよね。
でも、ちょっと強い口調で注意するかもしれない。
『じいさん、やめろよ』くらい言うかもね。
それでさ、あのガンコそうなおじいさんがますますヒートアップしたら……
おじいさんとサラリーマンが口論になったとしたら………」
私に考える時間を与えようとしたのか、華子さんは少し間をおき、続けた。
「あの隣に座ってるおばあさんは、どんな気持ちになるだろうね。
自分をかばって怒ってた夫が、自分の為に若い人とケンカになってるんだよ。
それを見たらおばあさん、傷つくんじゃないかね。
でさ、そんなの見てておばあさんが『もう、外には行きたくない』って思ったら。
『電車には二度と乗りたくない』って言いだしたとしたら……
一体、誰が悪かったんだろうね」
華子さんの話に想像力をふくらますと、無力感に襲われた。
「誰も……悪くない」
多くを語れない私に、華子さんは私の気持ちを代弁するように説いた。
「そっ、誰も悪くない。
OLは、携帯電話いじってただけ。
おじいさんは、自分の妻を守りたかっただけ。
サラリーマンは、女性の味方したかっただけ。
ほら、誰も悪くないのに誰かが傷つく。
こんなことは、現実社会でも起こりうるのよ」
「じゃあ、ネットが悪かったわけではなかったんですか?」
あたしはさ、まっ、言えって言われれば言うけど、わざわざ言いに行きはしないね。
面倒な事になるのいやだし。
ほら、あのOLだっておもしろくはないだろうけど、駅着くまでの辛抱だって思ってるよ、きっと。
でもね、もし……もしだよ。
あのOLが、怒ったおじいさんに驚いて泣きだしたらどうする?
うーん、それでもあたしは知らんぷりするけどね。それくらいで泣く方もどうかなって思うし。
だけどさ、ほら、通路挟んで隣に座るサラリーマンが、変な正義感出しちゃって、か弱い女を……ん?か弱いのかな?
まっ、とにかく、助けたいなんて思っちゃって。
ちょっと古いけど、電車男きどってさ。
おじいさんを殴って……いや、殴ったらだめだよね。
でも、ちょっと強い口調で注意するかもしれない。
『じいさん、やめろよ』くらい言うかもね。
それでさ、あのガンコそうなおじいさんがますますヒートアップしたら……
おじいさんとサラリーマンが口論になったとしたら………」
私に考える時間を与えようとしたのか、華子さんは少し間をおき、続けた。
「あの隣に座ってるおばあさんは、どんな気持ちになるだろうね。
自分をかばって怒ってた夫が、自分の為に若い人とケンカになってるんだよ。
それを見たらおばあさん、傷つくんじゃないかね。
でさ、そんなの見てておばあさんが『もう、外には行きたくない』って思ったら。
『電車には二度と乗りたくない』って言いだしたとしたら……
一体、誰が悪かったんだろうね」
華子さんの話に想像力をふくらますと、無力感に襲われた。
「誰も……悪くない」
多くを語れない私に、華子さんは私の気持ちを代弁するように説いた。
「そっ、誰も悪くない。
OLは、携帯電話いじってただけ。
おじいさんは、自分の妻を守りたかっただけ。
サラリーマンは、女性の味方したかっただけ。
ほら、誰も悪くないのに誰かが傷つく。
こんなことは、現実社会でも起こりうるのよ」
「じゃあ、ネットが悪かったわけではなかったんですか?」