カリス姫の夏
*****
フェリーが着岸した午前1時。
青森は風のない静寂で、私達を迎えてくれた。
港では待ちくたびれた石井さんが、ワゴン車の中で仮眠を取っていた。
石井さんがここにいる理由は、華子さんによればこうだ。
『石井のツイッターのせいで子リスが写真撮られて、ネットに流されたって話したら、石井も責任感じたみたいでさ。
いや、あたしはいいって言ったんだよ。わざわざ青森まで迎えにくるなんてね、高速代もガソリン代もかかるじゃない。
そしたら、岩手まで行く仕事あるから待っててくれるって言ってね。
高速代くらい払うよって言ったんだけど、いらないって言うのさ。
そりゃ、そんな好意を無下にするのも悪いじゃない』
平然と言ってのける華子さんのお尻から、黒い尻尾が見えていたのは言うまでもない。
どれだけおどされたのかと想像し、石井さんに同情するしかなかった。
ここまでいいように使われていながら、それでもまだ良心が痛むのか、石井さんは私が車に乗ってからも謝り通しだった。
「ごめんね、多部さん。
俺が変なことつぶやいたから大変な目に合ったんだろ。
怪我とかしなかったかい?
命狙われたりとかしなかったかい?」
一体、どう説明したのかと華子さんをにらんだが、助手席の華子さんはあっという間に夢の世界に行っていた。
「大丈夫ですよ。
原因はハッキリしたし、トラブルはだいたい解決しましたから。
後は時間が解決してくれますよ」
と私が笑うと、石井さんは心から安堵の表情を見せた。
「でもさ、ツイッターって怖いよな。
あのあと、俺のツイッター、返信開いたら、だーーって滝みたいに流れてさ。
いやー、びっくりしたよ。
これが炎上ってやつかーって。
なんか、有名人になったみたいだったよ」
なぜだかうれしそうな石井さんに、今度は私が謝るしかない。
「ごめんなさい。
それ、多分わたしの仲間なんです。
悪気はないんだけど、きっと石井さんこらしめたくてしたんだと思います」
「いや、いいんだよ。もとはと言えば俺が悪いんだし。
まさかさ、俺なんかのツイッター、誰かが見るなんて思わないじゃない。
本名出してるわけじゃないし、カリス姫って書く分にはなんのトラブルにもなんないって思っちゃったんだよね。
でもさ、今回の事で反省して、まっ、ちょっとショックもあって、とりあえずツイッターは辞めたんだ。
書くこと気にしなきゃなんないんなら、いっそやらない方がいいかなって」
石井さんは自分の身に起きた出来事を例に上げながら、まるで私のトラブルと重ね合わせるように淡々と話した。
フェリーが着岸した午前1時。
青森は風のない静寂で、私達を迎えてくれた。
港では待ちくたびれた石井さんが、ワゴン車の中で仮眠を取っていた。
石井さんがここにいる理由は、華子さんによればこうだ。
『石井のツイッターのせいで子リスが写真撮られて、ネットに流されたって話したら、石井も責任感じたみたいでさ。
いや、あたしはいいって言ったんだよ。わざわざ青森まで迎えにくるなんてね、高速代もガソリン代もかかるじゃない。
そしたら、岩手まで行く仕事あるから待っててくれるって言ってね。
高速代くらい払うよって言ったんだけど、いらないって言うのさ。
そりゃ、そんな好意を無下にするのも悪いじゃない』
平然と言ってのける華子さんのお尻から、黒い尻尾が見えていたのは言うまでもない。
どれだけおどされたのかと想像し、石井さんに同情するしかなかった。
ここまでいいように使われていながら、それでもまだ良心が痛むのか、石井さんは私が車に乗ってからも謝り通しだった。
「ごめんね、多部さん。
俺が変なことつぶやいたから大変な目に合ったんだろ。
怪我とかしなかったかい?
命狙われたりとかしなかったかい?」
一体、どう説明したのかと華子さんをにらんだが、助手席の華子さんはあっという間に夢の世界に行っていた。
「大丈夫ですよ。
原因はハッキリしたし、トラブルはだいたい解決しましたから。
後は時間が解決してくれますよ」
と私が笑うと、石井さんは心から安堵の表情を見せた。
「でもさ、ツイッターって怖いよな。
あのあと、俺のツイッター、返信開いたら、だーーって滝みたいに流れてさ。
いやー、びっくりしたよ。
これが炎上ってやつかーって。
なんか、有名人になったみたいだったよ」
なぜだかうれしそうな石井さんに、今度は私が謝るしかない。
「ごめんなさい。
それ、多分わたしの仲間なんです。
悪気はないんだけど、きっと石井さんこらしめたくてしたんだと思います」
「いや、いいんだよ。もとはと言えば俺が悪いんだし。
まさかさ、俺なんかのツイッター、誰かが見るなんて思わないじゃない。
本名出してるわけじゃないし、カリス姫って書く分にはなんのトラブルにもなんないって思っちゃったんだよね。
でもさ、今回の事で反省して、まっ、ちょっとショックもあって、とりあえずツイッターは辞めたんだ。
書くこと気にしなきゃなんないんなら、いっそやらない方がいいかなって」
石井さんは自分の身に起きた出来事を例に上げながら、まるで私のトラブルと重ね合わせるように淡々と話した。