カリス姫の夏
太陽は、容赦なく地上に照りつけている。池の奥には背の高い木が緑の葉を茂らせ木陰を作ってくれていたが、残念ながら差しのべられた手は私達のいる場所までは届いていない。
大好物のキャベツを食べ終え満足顔の将司はその岩の上で日向ぼっこを始めた。揺れる木陰の隙間から差し込む光が心地よいのか、目を閉じじっとしている。
私は焼けつく太陽光から身を守ろうと、ハンカチを頭から掛けわずかばかりの日陰をつくってしのいでいた。けれども、そんなの気休めだとすぐに気づかされる。
ハンカチ一枚よりは役に立つ気休めが欲しくて、私は華子さんに尋ねた。
「ねえ、華子さん。
私、この夏で変わったと思います?
初めて会った時より、こう自信がついたとか……積極的になったとか……
うーん、明るくなったとか……」
華子さんは将司から視線をそらさず『なに言ってんのよ』とでも言いたげに、吐き捨てた。
「何にも変わっちゃいない。
全くね。
あんたはさ、あの時、くやしいよーって叫んでどんぐり分けてもらってた子リスのまんまよ」
私に、全く反論の余地はない。
「そうですよね。
本当のところ、私も変わったとは思えないんです。
そりゃ、華子さんの仕事手伝わせてもらって、いろんな経験して。
まっ、トラブルに巻き込まれて辛い時もあったけど、藍人くんとか、みゅーとか、新しい人間関係も作れて……
でもね、来週から新学期が始まって学校に行ったら、1学期と同じ……
ていうか、この2年間と同じで……
目を付けられるのが嫌で、自分を殺して、でも独りでいるって思われたくなくて、なんとなくみんなに交わってるフリして。
人間の本質ってそうそう変わりませんよね」