Doll‥ ~愛を知るとき
 

看護師に誘導され、待合室に向かった。

正面の長椅子に三人の人が腰掛けているのが見えた。

一歩一歩、近付く度に動悸が速くなっていく気がする。

向かって左端に座っていた女性が立ち上がり、あたしを見つめた。


「エナさん‥。」

六十歳は過ぎているように見える。

気の強そうな顔。

ウェーブのかかった短い髪と薄化粧、上品な出で立ち。


名前を呼ばれたけれど、知らない人だった。


 
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