Doll‥ ~愛を知るとき
とても疲れているのに眠れない。
慣れない環境のせい、神経がピリピリしている。
すやすやと寝息を立てる愛翔に寄り添って、その柔らかな頬に触れてみた。
途端、哀しみが込み上げて来た。
愛翔が生まれた時も、愛翔が初めて笑った瞬間も、初めてハイハイした日も歩いた日も、あたしは何も覚えていない。
ただ、例えようのない愛しさだけが溢れくる以外は、愛翔の何も分からない。
樹と関わらなければ、きっと普通の親子でいられたのに‥。
── 樹‥
こんなにも残酷なこと‥
どうして‥?