Doll‥ ~愛を知るとき
「大丈夫、怒らないよ。でもね、お店の物は勝手に触らないの。」
言い聞かせるあたしに、愛翔は大きく頷く。
そして、少し不安げな表情で
「ママ、だっこぉ。」
と、両手を広げた。
あたしはスーパーのカゴをフロアに置いて、愛翔を抱き上げた。
愛翔は可愛い。
愛翔といれば、樹を思い出す時間が減っているような気がする。
きめ細かな柔らかい肌、澄んだ瞳、小さな手のひら。
食べてしまいたくなる。
「愛翔、カートに乗る?抱っこしてたら、お買い物が出来ないよ。」
「うん。」
カート置き場からカートを一台引き出し、それに愛翔を乗せ、あたしは買い物の続きをした。