Doll‥ ~愛を知るとき


訊き返すことはしなかった。

ただ、黙って彼を見ていた。

どんな反応をしても、怪しまれそうで怖い。

無表情を取り繕う他に、手段を思い付かなかった。


浩也は眉をしかめて

「桜井のヤツ、まだ捕まってないみたいやな‥。」

と、憎らしそうに言った。

「そうなんだ‥。」

一言だけ返事をして、絵本を見ている愛翔の横に腰を下ろした。


テレビの音がうるさい。

ボリュームを上げ過ぎなんだ。

目まぐるしく変わるチャンネルに、あたしは また苛立ちを覚えていた。


< 199 / 666 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop