Doll‥ ~愛を知るとき
特別な存在って、ある。
触れてはいけない存在。
神の聖域に位置するような、手の届かない存在。
あたしにとって樹は、そんな特別さがあった。
「愛波、ユリネ発注しといてくれよ。」
「はい。」
準備中の店で、あたしと浩也は会話する。
平静を装っていても、ココロは落ち着きを失していた。
浩也と付き合ってることを先輩に知られたくない‥
そう思っている自分に気付く。
バカだなって思った。
転校生じゃないから、入店しても皆の前で自己紹介なんてしない。
浩也達板前に指示されながら厨房で働いている樹のことを、あたしは とても気になっていた。