Doll‥ ~愛を知るとき
 

確かめたいんだと思う。

あの時、樹があたしを呼んだ声を きっと浩也達は聞いていた。

だから、あたしが気付いているかどうか、そのことを確認したいんだ。


更衣室に入ると、朝美さんがいた。

「お疲れ様です。」

彼女に言葉を掛け、小さな鍵でロッカーの扉を開ける。

三角巾を頭から外し髪を結わえたゴムを解き、黒のキャミワンピに着替えたあと、あたしは制服をロッカーに入れ鍵を閉めた。

ガチャガチャと無機質な音が更衣室に響く。

早くこの場を去りたくて、出入口へと向かおうとした時

「岬さん、今日はミスが多かったね。なんかあったの?」

そう問い掛ける朝美さんの笑顔が意地悪に見えた。


 
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