Doll‥ ~愛を知るとき
九月になった。
暦の上では秋なのに、毎日暑い。
季節が一ヶ月、ずれている。
そう感じるのは、あたしだけかもしれないけど‥。
あの夜以来、浩也は朝美さんと今までのようには話さなくなった。
その気持ちに応えるべく、あたしは樹への想いを胸の奥に閉じ込めようと思った。
なのに、結婚式を間近に控えた日、樹が退職することを知った。
知り合いの店を手伝うことになったらしいと、板前の人達が話していた。
─ もう、会えなくなる‥
予期せぬ突然の報せに、とても哀しくなった。