Doll‥ ~愛を知るとき
ドクドクと心臓が騒ぎ出す。
─ 真保さんと姉弟なんて‥
喜べない偶然に胸が苦しくなった。
「パパ、店は?順調?」
「ボチボチやな。ま、樹が手伝いに来てくれてるから、女の子の客は増えたわ。」
楽しく会話する彼らを見ていることが辛かった。
あたしに背を向けて立つ、樹の声を聞きたくなかった。
耐え切れず、静かにベッドを降り部屋を抜け出した。
憂鬱を引きずって、新生児室へと廊下を歩く。
きっと、樹は怒っている。
言い訳をする猶予なんて無い。
── 樹‥
忘れかけていた恋の感情が切なく込み上げていた。