Doll‥ ~愛を知るとき


「浩也に聞いたけど、ぼくちゃん、熱出したの?」

「はい。」

「そんな小さな子に風邪をひかせて、あなた母親失格ね。」

「え?」

我が子が熱を出したのに、帰って来ない浩也は父親失格じゃないの?

思っても、口には出せない。

出したところで、また あたしが責められるだけ。

「すみません。気を付けます。」

義母の小言を聞いたあと、電話を切って溜め息を吐いた。


愛翔に困ったことが起きれば、あたしは『母親失格』だと責められる。

寝返りを打ってベビーベッドの柵におでこをぶつけただけでも、夜泣きをしても、浩也が義母に報告する度に『母親失格』だと罵られる。

それがプレッシャーになっていた。


 
< 355 / 666 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop