Doll‥ ~愛を知るとき
初めて『ママ』と呼んだ。
その声は、泣き叫ぶ声だった。
「ママァ!ママァ!」
─ あーくん‥
突き動かされるように立ち上がり、寝室へと駆け込んだ。
扉を開けた瞬間、タバコの臭いが どっと押し寄せてきた。
窓も開けず、何本も吸っていたんだ。
部屋には煙が充満していた。
愛翔は上半身を裸にされていて、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔で座り込んで泣いていた。
「愛翔‥。」
「ヘタレのクソガキが!お前の育て方が悪いから、こんなヘタレになるんじゃ!」
浩也は、ナイトテーブルに置いた灰皿に荒々しくタバコを揉み消すと
「邪魔や!どけッ!」
怒り狂った形相で あたしを突き飛ばし、寝室を出て行った。