Doll‥ ~愛を知るとき


左耳に キィーンと耳鳴りがした。

同時に、頬がジンジンと疼いた。

足元にいる愛翔の泣き声が恐さのあまり大きくなる。

「泣くな言うてるやろ!まだ分からんのか!!」

興奮し切った浩也は、今度は愛翔を殴ろうと構えた。

あたしは、それを反射的に手で制した。

「ヤメてよ!もう嫌だ!」

「なんやと、あ!?俺の息子を俺がどうしようが勝手じゃ!」

舌を巻いて怒鳴って、浩也はまた あたしを殴った。


まるで、ドラマの暴力シーン。

胸ぐらを掴んで怒鳴っている。

獣みたいな顔と腐敗した魚を連想させる息。

わんわんと耳鳴りがして、何を怒鳴っているのか分からない。

恐怖しか感じなかった。


 
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