Doll‥ ~愛を知るとき
†14 愛壊
翌日、浩也は愛翔を連れて帰って来た。
どういう風の吹き回しなのか分からない。
「昨日は悪かった。もう二度と、あんなことは無いから許してくれ。」
バースデーケーキを抱え、申し訳なさそうに、彼は頭を下げた。
「ホントに?」
「ほんまや。愛翔にも可哀想なことしたと思ってる。だから、ごめん。」
初めて見た。
浩也の反省した態度。
「約束してくれるの?」
「勿論や。だから、許してくれ。ほら、ケーキ買ってきた。」
浩也は、白い箱を差し出し、笑顔を見せた。
全てを許せる訳じゃない。
でも、きっと誰にでも間違いはある。
躊躇いはあったけど、彼を信じてみようと思った。
パパとママのいる家庭で、愛翔を育てたい‥
施設で育ったあたしに、その想いは強かった。
「愛波、誕生日おめでとう。」
箱から取り出したケーキに、愛翔の瞳が輝いた。