Doll‥ ~愛を知るとき
浩也は、ベランダに出てタバコを喫うようになった。
愛翔の傍で喫わなくなっただけでも、ホッとした。
夕飯を済ませたあと
「ちょっと相談があるんやけどな‥。」
そう前置きすると、浩也は店を手伝って欲しいと言った。
不景気で人を雇えないことが理由だった。
「給料って形では出されへんけど、小遣い程度には渡せるように、オヤジに話すわ。」
勤務時間は、朝からお昼のラッシュ時が過ぎる三時頃まで。
保育所に預けると保育料が高いから、義母が愛翔の世話をする。
「頼むわ。困ってるねん、助けてくれるか?」
その話をする為に帰って来たのかな‥?
そんな疑問も もたなかった訳じゃないけど、仲良くいられることの方が先決だと思った。
あたしは、ひとつだけ条件を出した。
「分かった。手伝う。でも‥。」