Doll‥ ~愛を知るとき
車の免許を取りたかったのは、樹の影響かもしれない。
厨房には山岡さんという車好きの板前がいて、樹は時々、山岡さんと車のことを楽しそうに語っていた。
「愛波ちゃんって、免許持ってんの?」
「いえ‥。」
「取っときなよ。車、楽しいからさ。」
他愛ない会話。
だけど、嬉しかった。
「俺がおるから必要無いわ。」
話を聞いていた浩也の一言で、重い空気が流れたっけ‥。
あの頃 住んでいたアパートが見えて来た。
公園の前を通って店の前を通り過ぎ、浩也の実家に向かう。
「よろしくお願いします。」
「ぼくちゃん、いらっしゃい。」
義母に愛翔を預け、元来た道を運転して、あたしは店に向かった。