Doll‥ ~愛を知るとき


当然、濡れないから入らない。

唾液を潤滑油にして、浩也は強引に押し込んで来た。

愛の無い行為に虚しさしか感じない。

浩也が動いている間、天井を見つめていた。

声なんか出さない。

感じたりしない。

ダイニングルームで泣き出した愛翔の声に気を取られながら、終わるまでココロを閉ざしていた。


「お前がオレを怒らせるから、あかんねん。食べ物を粗末にするなよ。」

分かった風な口を利いて大人ぶっているけど、不味いと言って食べなかったのは浩也。

満足気に話す彼の、説得力の無いセリフを聞き流して、あたしは服を着た。


「もう出て行くとか言うなよ。俺もお前を殴りたくないんやからな。」

ベランダで喫っていたはずのタバコに火をつけて、浩也は、優しい声を出した。


 
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