Doll‥ ~愛を知るとき


「朝美さんとデキてるくせに‥。」

廊下を歩きながら、思わず呟いていた。

部屋から出て来た浩也に、その声を聞かれてしまった。

浩也は、感情の起伏が激しい。

「なんで疑われなあかんねん!証拠でもあるんか!出してみろ!」

後ろから肩を掴むと、彼は あたしを壁に押し付けた。

片手に、タバコの火が燃えている。

肩をすくめたまま、身動きがとれずにいた。

「今、俺ら仲直りしたとこちゃうんか!俺を苛々さすなや!クソおもんない女やな!お前って!」

仲直りなんてしていないのに、勝手な言い分を怒鳴り散らして、浩也はバスルームへと向かった。


殴られなかったことにも、愛翔に怒りが飛ばなかったことにも、ホッと胸を撫で下ろす。

ダイニングルームで椅子に座ったまま泣いてる愛翔を抱き上げた時、あたしの目から、我慢していた涙が零れた。


 
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