Doll‥ ~愛を知るとき
その日、朝美さんは ずっと不機嫌で、浩也と会話することも殆ど無かった。
「お疲れ様です。」
午後三時、いつものようにタイムカードを押して、店を出た。
義母の元に愛翔を迎えに行き、家へと車を走らせる。
店の前を通り公園の側を通って、寮のあるアパートの前を通り過ぎる。
海沿いの国道を走り、あたしはマンションの駐車場に車を停めた。
甘やかすといけない。
そうは思っていても、愚図る愛翔を放っておくことも出来ない。
癇癪を起こして、また引き付けたりしたら怖いから。
10キロにもなる幼児を、オンブ紐でオブって家事をする。
「あーくん!痛いってば!もう降ろすよ!」
背中から髪を引っ張る愛翔を、時々、叱っていた。