Doll‥ ~愛を知るとき


翌日、浩也の暴力のことを義母に打ち明けた。

そして、彼の子ども時代の様子を知りたいと伝えた。

義母は顔をしかめると、記憶の糸を辿るように話し出した。

「うちは、お祖父さんの代から あの店を営んでるからね。浩也が生後三ヶ月から保育所に預けて、朝から夕方まで働いて‥。」

ずっと、そんな生活だったって。

小学生になっても彼は鍵っ子で、家に帰っても誰もいない状態だった。


「寂しかったのかな‥?」

そう呟いた時

「あら、それは無いわ。欲しいものは何でも買い与えていたし、いつも良い子で お留守番してたのよ。」

義母はキツい目で、あたしを睨んだ。

「大体ね、浩也は、もう子どもじゃないんだから、原因があるとしたら、愛波さん、あなたじゃないの?私達に責任を押し付けないでちょうだいね。」


愛情で満たされたいココロを代用品で補おうとする。

それは、空腹を訴える子どもに玩具をあてがうことと同じ。

一時的な効果しかもたないのに‥。


 
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