Doll‥ ~愛を知るとき
愛翔が走ったり騒いだりすると、浩也が暴力的になる。
そのことを分かり始めたみたい。
愛翔は、電車の絵本を広げたり、床に寝そべって玩具で遊ぶようになっていた。
ミンミンと五月蝿く蝉が鳴く八月。
その日は、店の定休日だったから家族で自宅にいた。
最近のあたしは、浩也と一緒に過ごす時間が長いと胃が痛くなる。
胃薬が必需品になっていた。
静かに遊んでいる子を、そっとしておけばいいのに
「愛翔、来い!」
浩也は、愛翔を呼んだ。
「男は強くないとあかん。パパがプロレス教えたる!」
嫌な予感がした。
二人から目が離せなくなった。