Doll‥ ~愛を知るとき
急発進でバックすれば、この場から逃げることが可能かもしれない。
そう思った瞬間だった。
ドアのロックが外れた。
驚き振り向いた時、すかさず運転席のドアが開いた。
「お前、すれ違ったこと気付いてなかったんか?」
浩也は、スペアキーをチラつかせ、嘲るように言った。
どこまで不運なんだろう。
そんな諦めしかなかった。
見付かることも、スペアキーのことも頭になかった。
間抜けとしか言いようがない。
彼は、エンストした車のキーを抜くと
「降りろ。」
と、怖い声で指示をした。