Doll‥ ~愛を知るとき
夜、帰宅した浩也が寝室に入って来た。
「寝てるんか?」
叩き起こされることを覚悟していたけど、彼は静かな声で訊いた。
「起きてる。でも、頭が痛くて病院に行って来た。」
「風邪か?」
浩也は心配そうな顔をした。
「あっちにお布団敷いたから、今日は一人で寝ていい?」
「分かった。ゆっくり寝とけよ。」
思いの外、物分かりのいい彼に驚きながら、部屋を出て行く後ろ姿を可哀想に感じていた。
あたしがいなくなれば、浩也は、もっと異常になってしまうのかな‥
そんな風に、彼を哀れむ気持ちが常に胸のどこかにある。
そのことに気付いた時、決心は揺らいだ。