Doll‥ ~愛を知るとき


玄関先で浩也を見送り、すぐにシャワーを浴びた。

朝シャンは必要無いと禁止されている。

だから、脱いだ衣服と使ったタオルは洗濯機に入れた。


浩也は過敏症だから、少しの変化にも気付く。

あたしの服に何かの染みがあるだけでも、どこで汚したんだと執拗に訊いて来る。

気付かない内に汚れただけだと説明しても、分かろうとしない。

顔を近付けて、興奮した息を吐いて怒鳴り散らして来る。

その度、彼の異常な態度に苛立ちを感じていた。


午前10時

洗った洗濯物をベランダに干して、あたしは家を出た。


落ち着きをなくした胸で車に乗り、樹のマンションへと向かった。


 
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