Doll‥ ~愛を知るとき
時々、愛翔のことが可愛いと思えなくなる。
ココロが壊れていくのを感じていた。
そう話したあたしに、樹は優しく諭してくれた。
「誰かのために我慢するんじゃねーんだよな。きっと、自分が自分でいられるために感情の制限をするんだ。」
「どーゆこと?」
「人なんて、おかしくなろうと思えば、いくらだってなれるってことだよ。自制心を外してしまうことは、案外 簡単なんだと思う。まともにいる方が難しいのかもしれない。きっと正常さを保つ方が難しいんだよな。」
テーブルには、帰り道に寄ったコンビニで買ったペットボトルが置いている。
あたしのすきなリンゴジュース。
ふたつのグラスにジュースを注いで、樹は、あたしを見つめた。
「愛翔くんのために我慢してる。そう思うから、可愛いと思えなくなるんだ。分かる?そういうことだよ。」
頷いたあたしに微笑むと、樹はグラスを差し出した。