Doll‥ ~愛を知るとき
助手席から水滴の滴る窓の外を眺めて、愛翔を想っていた。
会いたくて、たまらなくなっていた。
義母の家にいるから、浩也に暴力を奮われることは無い。
背中の火傷痕を浩也が義母に、どんな風に説明しているのかは知らない。
だけど、彼は両親の前では無茶はしない。
親の前で“いい子”でいることが幼い頃からの習性になっているんだ。
そのことを分かっているから、心配はしなかった。
ただ、愛翔を抱きしめたくて‥。
「愛波、不安?」
樹の左手があたしの髪に触れた。
「ううん、大丈夫。」
彼を振り向いて、無理に笑顔を作った。
「遠慮しなくていいから、何でも言えよ。」
「うん。」
大きなファッションビルの地下駐車場に、樹は車を入れた。