Doll‥ ~愛を知るとき
食事を進めながら、樹は会話を止めなかった。
まるで、あたしの不安を解すように話し続けていた。
「走り屋やってた頃はさ、毎晩のように走りに行ってたんだよな。そしたら、必ず何かハプニングがあんだよ。」
「そうなんだ。」
「逆さまにひっくり返った車を見たり、目の前で事故った車を寸前で避けたこともあったな。」
「すごいね‥。」
話を聞いているだけなのに、とてもヒヤヒヤした。
「とにかく無茶はしてたな。白バイとか覆面吹っ切って、何回も逃げた。覆面パトカーの後ろをわざとついてってさ、追い抜いてスピード上げるんだ。」
「そんなことしたら、捕まるよ‥。」
「そこを逃げ切んのが腕だって、覆面とカーチェイスしてさ。ナンバープレートあるだろ?あれ、ガムテとかで目隠しするんだ。捕まんなきゃ平気って、今、考えたらバカみたいだけどな。」
楽しそうに話す樹の目はキラキラ輝いていて、あたしの知っている彼からは想像もつかない過去に、とても驚いていた。