Doll‥ ~愛を知るとき
あたしは、顔を上げた。
樹は優しい目で あたしを見ていた。
「愛波ちゃん。“狼少年”の童話、知ってる?」
不意の質問に、戸惑いを感じてる。
小さく首を縦に振り、俯いていた。
「嘘ばっかついてるとさ、いつか本物の狼に食べられてしまうよ。ちゃんと覚えてて。」
─ 違うよ‥、樹‥
我慢していた涙が溢れ出した。
苦しくて、切なくて、どうしようもなくて‥。
「あのな、コイツに説教しても無駄やから。コイツは病気みたいなもんやからな。」
苛立ちを隠せない声で、浩也は窘めるように言った。
「そっすね‥。」
樹は、そう返事をすると、バイクに跨がりエンジンを掛けた。