Doll‥ ~愛を知るとき


あたしは、彼を見なかった。

ネックレスを握り締めた右手を、後ろ手に隠して俯いていた。


シルバーのチェーンが拳の端から垂れている。

気付かれて取り上げられることが恐かった。


浩也が傍に歩いて来た。

そして、あたしの前に立った。


「エナ、来いや。」


薄笑いしながら彼は、あたしの肩に触れた。

咄嗟に後退った。


「お前なぁ!」


反抗的な態度が気に入らないんだ。


「こっちが機嫌直してるのに、なんやねんっ!」


身勝手な言い分を叫んで、浩也は あたしをぶった。


 
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