Doll‥ ~愛を知るとき
今は、ただ、樹に逢いたい。
樹に逢って、謝りたい。
─ 人なんて、おかしくなろうと思えば、いくらだってなれるってことだよ。‥‥きっと、正常さを保つ方が難しいんだよな ─
その言葉の真意、今なら分かる。
周りだけが原因じゃない。
あたし自身も自分のココロを壊していたんだって‥。
でも、もう大丈夫‥
あたしは、壊れたりしない‥
愛翔を守って、ここから逃げて、樹の冤罪を晴らすよ‥
だから、待ってて‥
ナイトテーブルの上で充電器に収まった子機を手に取り、お布団に潜った。
そして、ライトを点灯させたプッシュホンの番号を、確認するように押した。