Doll‥ ~愛を知るとき
あの時‥。
意識を取り戻したあたしは、病室で看護師から樹を紹介された。
─ 誰だろ‥
不思議な気持ちで見ていたことを覚えてる。
「オレのこと、分かる?」
澄んだ瞳で見つめられて
「分かんない‥。」
小さく首を横に振った。
「オレは、愛波の知り合い。」
「知り合い?」
「そう‥、だから、一緒に帰ろう。」
「うん‥。」
体温計を差出して、看護師は
「この人は、愛波を助けてくれた人。愛波の命の恩人やねんで。」
そう言った。