Doll‥ ~愛を知るとき
胃のムカつきは治まらないまま、廊下へと進んだ。
ドクン‥ドクン‥
左耳の奥で、血管の脈打つ音が響いている。
ドアを閉めようと、緊張に震える指でドアノブに触れた時
プルル‥プルル
突如、電話が鳴り出した。
─ 歌穂かもしれない‥
ドアを閉めかけた手を止めて、耳を澄ませた。
リビングルームから、電話を受けた浩也の声が響いて来た。
「は‥?なんやねん!」
苛つきを隠せない声は、電話の相手が彼の知人じゃないことを示している。
「黙れ!知るか!」
その怒鳴り声に、恐怖感は増した。