Doll‥ ~愛を知るとき
ドアを開けると、知らない女の人が立っていた。
ウェーブの掛かった肩までの黒い髪、目鼻立ちのハッキリした顔。
美人だなって思った。
「今日、隣に越して来ました。大竹です。これから荷物を運び入れるからバタバタ五月蝿くなるけど、ごめんなさいね。」
そう言うと、その女性は包装された箱を差し出した。
「桜井さん‥、ですよね?大家さんに聞きました。よろしくお願いしますね。」
『桜井』は、樹の名字。
あたしは『岬』だから。
「こちらこそ‥。」
慣れない愛想笑いを浮かべながら、あたしは頭を下げた。
普段、樹としか話さないから とても緊張した。