Doll‥ ~愛を知るとき


ドアを開けると、知らない女の人が立っていた。

ウェーブの掛かった肩までの黒い髪、目鼻立ちのハッキリした顔。

美人だなって思った。


「今日、隣に越して来ました。大竹です。これから荷物を運び入れるからバタバタ五月蝿くなるけど、ごめんなさいね。」

そう言うと、その女性は包装された箱を差し出した。

「桜井さん‥、ですよね?大家さんに聞きました。よろしくお願いしますね。」


『桜井』は、樹の名字。

あたしは『岬』だから。


「こちらこそ‥。」

慣れない愛想笑いを浮かべながら、あたしは頭を下げた。

普段、樹としか話さないから とても緊張した。


< 59 / 666 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop