Doll‥ ~愛を知るとき
「出てくね‥。住む場所が決まったら、ちゃんと連絡する。」
あたしは、玄関へと足を踏み出した。
最後に見た浩也の目は、見捨てられた仔犬のようだった。
僅かに後ろ髪を引かれる思いを感じている。
だけど、また元の生活を続けることは、命懸け。
愛翔と引き離されてしまう不安も消えないから‥。
自分の気持ちを確認するように、最後に浩也に告げた。
「もし、親権で裁判になっても、あたしは愛翔を離さない。絶対に、離さないよ‥。」