Doll‥ ~愛を知るとき
†20 愛離
マンションの前、道路の路肩には見慣れない車があった。
その車の傍まで来ると、樹は
「乗って。」
と、あたしを促した。
「これって?」
「ん?借りてるんだ。オレの車だと、直ぐに足が着くからな。」
樹は、指名手配されている。
だから、彼の車では移動が出来なかったんだと言った。
「ね、警察行かなきゃ。」
「明日でいいよ。大丈夫だからさ。」
「でも‥。」
不安になるあたしに、樹は優しく微笑んで
「こんな時間だし、愛翔くんを ちゃんと寝かしてやんなきゃな。」
って、言った。