Doll‥ ~愛を知るとき
その言葉に素直に頷いて、助手席に座った。
眠る愛翔を膝の上に抱いて‥。
「ね、これから どこに行くの?」
「オレと愛波が住んでた町だよ。」
答えると、樹は車を出した。
「ここからだと、高速飛ばしても軽く二時間は掛かるからな。シート倒して寝ててもいいよ。疲れただろ?」
疲れは感じているけど、まだ興奮しているのか眠気は無かった。
「そんなに遠いの?」
「関空のまだ向こうって分かる?大阪の端、和歌山の手前だよ。」
地名を教えてくれたけど、ハッキリとは思い出せなかった。
「そうなんだ‥。」
また、あの町に戻れることは、嬉しいけど哀しい。
複雑な気持ちになった。